針仕事

子どもを保育園に行かせるようになってから、針を持つ機会が増えた。
私は裁縫が苦手でである。
ミシンは家庭科の授業でしか触ったことがないし、ボビンをかける、という工程から既にできなくて同じ班の男子にやってもらった記憶がある。
しかし保育園は容赦なく、あれをつけろこれをつけろと当たり前のように命じてくる。
今日はボタンだ。次女の夏服のちっさい銀のボタンが取れたのだ。それを明日までに直すのが私の使命だ。

風呂上がり、汗を滲ませながら針を握る。
とにかく不器用な手先を持って生まれてしまったので、針を針入れからつまみ出すという時点で失敗して針を落とし、畳の上に落ちたはずの針を探す、という作業でだいぶ時間をロスした。
汗をかきながらデカい(おもによこに)体を縮めてボタンをつける。
ボタンは初めの何針かでは場所が定まらずくるくると回って私を翻弄した。
クソ、ボタンめ。ボタンのくせに。

オモテ面の穴に針を通すことはできても、裏側から針を戻してくるのに苦労して何度か指を指す。おのれ針め。針のくせに。愚弄しおって。覚えておれ。

ちくちくと小さいボタンをつけながら、誰にも文句は言わせんぞ、と思う。
私は必死で母親をやっている。
多分いっぱい間違ってるし、上手くできないことも多いし、自分勝手なひどい親だけれど。
誰にも文句は言わせんぞ。

私は必死で母親なのだ。

唯一文句を言っていいのは、この下手くそで自分勝手な育児の影響を受けて育つ、子どもたちだけ。外野は黙ってろってんだ。

まったくもって、誰に何かを言われたわけでもないのにやけに攻撃的(でもどこか高揚した)気持ちで最後の針を通したら、不恰好なボタンが薄い生地の上に張り付いていた。


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by koto316 | 2018-06-19 20:29 | 育児 | Comments(0)

踊らにゃsong!song!精神でやっていきたい30歳♀。田舎暮らしに育児を添えて。@kotosuke316でついったもやってます。


by koto316